【チャリ走VR】VR酔いを軽減するための対策
はじめに
本投稿では、今年2月21日にリリースされたPlayStation®VR専用ソフト「チャリ走VR」の開発で発生したVR酔いについてと、その解決方法についてお話させて頂きます。
チャリ走VR
VR酔いが発生した箇所
現在リリースされているVRタイトルをプレイしたことがある方は「VR酔い」がどのような現象であるか理解できると思います。ここでは「VR酔い」についての詳しい説明は省きますが、「チャリ走VR」の開発初期から開発終盤までのゲームプレイ中に不快感や吐き気を催すような状態になる原因だと考えられたものをいくつか紹介します。
ハンドル
下図は開発初期の「チャリ走VR」のプレイ画面です。この時はキャラクターがチャリに乗っておらず、さらにコントローラの十字キーを左右に入力したところでハンドルにアニメーションも付いていなかったため、図のハンドルの状態で左右に移動していました。このハンドルで森ステージ、街ステージ(開発初期のステージ)をプレイしていると数分で不快な感覚に陥りました。
対策
開発初期ということもあり、アニメーションを付けるのもまだ検討していたところでしたので、アニメーションを使わずにチャリ自体を移動方向に傾ける(バイクに乗っている人が曲がる時に体を傾けているイメージ)という暫定動作を入れてみるとVR酔いが軽減されました。VRに慣れていない場合は、現実に起こることが起こらないとすぐに違和感を感じてしまうようでした。
ジャンプ
最新の「チャリ走VR」ではプレイヤーの落下時に細工をしていますが、VR慣れしていない方がいきなりプレイするとジャンプの動作で不快な気分になってしまう可能性はあります。何の細工もせずにジャンプ動作をするとジャンプをしたくなくなるほど不快になると思います。また、高いところから落下したときにその嫌な感覚は大きくなります。
対策
おそらく多くのゲームでは高いところ落下するような処理をまともに見せるタイトルはあまりないと思います(なるべくやりたくないですが。。。)。しかしながらゲームのルール上やらざるを得なかったので試行錯誤を重ねていました。キャラクターが高いところから落下すると、その高さによって最終的に感じる落下速度は異なるので、この落ちているという嫌な感覚を感じさせないかつ現実の落下に寄せる緩やかな落下を目指す必要がありました。注目するパラメータとしてはやはり「重力」です。
下図では、プレイヤーの落下速度に注目して重力操作を行っています。これだけですとプレイヤーがどの高さにいたとしても重力の影響を受けにくくなってしまうため、高さによって処理を変更する必要はありました。
そして、落下速度を大きく弱めたいのは地面と接触するかもしれないというタイミングであるため、より地面に近く落下速度の値が大きい場合はさらに重力の影響を受けなくします。理想は図のように赤い玉が曲線に沿って滑らかに着地する動作だと考えました。このあたりは改善する余地が残されているはずなので引き続き調べていく所存です。
衝突
私もいろいろなVRタイトルを体験してきましたが、衝突で不快感を催すときは「ものすごく速い移動速度で壁にぶつかった」時に発生している気がしました。「チャリ走VR」でも始めはかなりの速さで進行させていたため、街ステージの家に衝突した時は目をつぶっていました。
対策
「チャリ走VR」ではゲームプレイヤーがなんらかのギミックに衝突してしまうと、しばらくの時間経過後フェードアウトしてスコア表示画面に遷移します。この時のゲームプレイヤーのカメラ位置については、様々な表現方法があるとは思いますが開発当初から壁にぶつかった時はカメラの位置を動かさずにキャラクターだけぶっ飛ばそうというのは決めていました。この表現の場合、衝突した瞬間にカメラの移動速度が0になってしまい絶対に酔うだろうと思うところもありましたが、実際に試してみると全く不快感が無くむしろ清々しいほどぐちゃぐちゃになるチャリとキャラクターの吹っ飛び具合に感動すら覚えました(ちょっと盛った)。ただ自分が衝突したはずなのに自分がぶっ飛んでいるというおかしな現象が発生するのですが、なぜかここに関しては違和感がありませんでした。
まとめ
今回は開発中に発生したVR酔いとその解決方法について紹介させて頂きました。「チャリ走VR」のプレイヤーはかなりのスピードでチャリを漕いでいるわけですが、そこに関しての酔いが発生しないことが不思議だとよく言われます。人間が歩いているのではなく乗り物に乗っていると錯覚しているからなのか?絵が現実に寄せられていないからなのか?全ての謎を解明するのにはまだまだ時間を要しそうです。
written by GOODROID