「子供たちにデザインの面白さを伝えたい!」小学生向けデザイン講座とは?

2013年から小学生向けプログラミング教育事業を行うサイバーエージェントグループのCA Tech Kids。普段は小学生にプログラミングを教えているCA Tech Kidsですが、クリエイティビティを発揮する武器として、プログラミングに加えてデザインも学んで欲しいという思いから、2017年よりアドビ システムズ 社と共同で、「Kids Creator’s Studio」を実施しています。

「Kids Creator’s Studio」は、課題解決のために、テクノロジー(技術)を駆使し、クリエイティビティ(創造性)を発揮して「新しい価値を創る人=次世代クリエイター」と捉え、未来の創り手としての次世代クリエイター育成を目指すプロジェクトです。

そのプロジェクトの中で、ゲーム・エンターテイメント事業部(SGE)のデザイナーが、プログラム生への「デザイン講座」を担当しました。普段は、スマートフォンゲームのデザインをしているデザイナーが子供たちにどんなデザイン講座を実施したのかを当日の様子とともに紹介します。

5名のデザイナーが担当(左から、福岡、榎本、青山、角田、清水)

子供にデザインを教える!?どうやって!?

今回は、CA Tech Kidsから「デザイン」講座の相談をされたのですが、子供に対して「デザイン」という概念をどれだけ理解してもらえるのかが最初に悩んだことでした。

また、デザイン講座として、「子供にどうやったら伝わるのか」「概念を教えすぎることで自由な発想力を狭めてしまわないか」「そもそもデザインに興味を持ってもらえて、デザインは楽しい!と思ってもらえるか」…とにかく講師のメンバーで話し合いました。

試行錯誤をした結果、私たちが実施するデザイン講座では、「デザインって面白い!」と感じてもらい、「普段目にしているものには理由があるということを知ってもらおう」という部分に絞って講座をつくろうと考えました。例えば、「並んでいる5つのリンゴがあるとして、その1個だけを列からずらしたら、そのリンゴに目がいくよね?」など、デザインを知ってもらう前にまずはデザインの重要な要素である視覚の仕組みを知ってもらうのがよさそうだねとなりました。

いよいよ講義スタート!

そしていよいよ迎えたデザイン講座当日。

緊張気味の講師陣と元気いっぱいの子供たち。

どんな話が聞けるんだろうと真剣に話を聞く子供たち

今回、私たちはデザインの役割を、

世の中の物事を、「たくさんの人に」、「解りやすく」、「楽しく伝える」ことですと定義をし、子供たちに伝えてみました。

「デザイナーは見ることの交通整理をしているんだよ」と話すデザイナーの榎本

デザインの役割を話した後に、「色と形」「大きさ」「レイアウト(構図)」の4つのポイントに絞りワークとセットで講座を行いました。

自分の考えたことを手を動かし形にする、そして講師からのフィードバックで気づきを得ることで、理解を深めてもらいたいという思いがあったので、まず最初に、Missionというかたちで課題を出し、そのフィードバックでデザインの持つ役割を少しずつ理解してもらうという形式にしました。また、できるだけ自分なりに考える時間を取りたかったので、ワークの回数を多くしました。その方が、座学よりも子供たちの興味をずっと惹きつけられるのではという思いもありました。

最初のMissionは!?

ドキドキの最初のMissionは、「2つのりんごのうち右のりんごを目立たせてみよう!」、ただし、リンゴの位置と大きさ、色自体を変えてはいけないという条件付きでした。

何もヒントがないまま、ワーク時間がスタート!

ペンが止まってしまったらどうしようと思っていたのですが、ワークが始まるとそんな心配はどこへやら、どんどん案を考えていく子供たち…

楽しそうにワーク課題を行う子供たち

時にはみんなで相談しながらワークに取り組む子供たち

ワーク時間は、デザイナー社員がテーブルを回りながらアドバイスを。

ワーク時間が終わり、講評&講義時間では、講師であるクリエイティブディレクターの青山からフィードバックが。

講義を聞きながら「なるほどー」という声が飛び交う教室。

講義後は、子供たちのつくった課題作品への講評をしました。みんないろいろな発想で課題に取り組んでくれたので、時間が許す限り多くの作品を紹介したのですが、作品を見るたびに子供たちから笑いが。

「わかりやすさのかけらもない」と自分たちの作品を見ながら、最初に伝えたことを思い出してくれる子供たち。

どんな反応をしてくれるのか、実施するまで不安でしたが、Mission1の反応をみて、講師のデザイナーたちはほっと胸をなでおろしていました。その後もさらに発展した内容のワークと講義を繰り返し、最後に、「文字とすき間」についてのお話もして、1日目のデザイン講座は終了しました。

これ、本当に子供たちがつくったの!?

2日目は、1日目に習った内容を参考にしながら、現在彼らが作っているスマートフォンアプリのUIを改善するワークを行いました。

真剣にアドバイスをするデザイナーの角田

子供たちが考えたアプリのUIデザインをみて、それぞれにアドバイスを。

みんな一生懸命、自分のアプリの紹介をしてくれていました。子供たちが一生懸命自分のアプリの特徴や、制作する上で困っていることや改善したいことを相談してくれたので、それに対して、正解を教えるのではなく自分で考えられるよう一生懸命アドバイスをするデザイナー陣。普段の企画会議さながらのアドバイスタイムになりました。

あっという間に2日間が終了!

デザイン講座は2日間だけの企画だったので、子供たちとの時間はあっという間に過ぎて、2日目も終了。

「今日でデザイン講座は終わりです」と伝えると、「やだー!明日も来たいーー!」と寂しそうに子供たちが言っていて、講師陣が感動…。その後、「デザインのことをもっと知りたいから連絡先を教えてほしい」と子供に声をかけてもらいデザイナーが照れる場面も(笑)。

講座終了後、講師を担当したデザイナーも「比較的専門性の高い用語なども使っていたため、実施するまでは、この講座がどれくらい興味を持ってもらえるのか不安でしたが、実際には好意をもって受け入れられたので、ホっとしました」と嬉しそうでした。そして、普段はほとんど関わらない小学生の子たちにとにかく癒されていたデザイナー陣でした!

約200名の前でお披露目会も実施しました。

それから2ヵ月。実際に子供たちが自分のアプリとその改良点を動画にまとめたプロモーションビデオが完成し、お披露目発表会を行いました。200名近くが来場した会場で、堂々たるプレゼンテーションをした子供たち。お披露目した動画自体も、子供たちがアドビのPremiere Rush CCを使って自ら作成したものです。

それぞれの個性あふれる子供たちのプロモーションビデオはこちらからご覧いただけます。

https://techkidsschool.jp/event/kcstudio/presentation2019/

プレゼン後に行ったトークセッションでは「今まではデザインのことは全く考えていなかったので、使う人にとってわかりやすいかどうかよく考えるようになった」「単に好きな色を使っていたが、たとえば、アプリ内で赤い色は『重要』など、色味に役割を持たせてみることでわかりやすくするという考えが生まれた」「動画の編集が面白かったのでもっといろいろな動画を作ってみたい」という発言もあり、彼・彼女らの次の作品に、会場の期待が高まるばかりでした。

子供たちの可能性を広げられるきっかけづくりを。

今後も、ゲーム・エンターテイメント事業部(SGE)では、ブラッシュアップをしながら、子供たちに向けたデザイン講座を実施していきたいと考えています。そして、デザインだけでなく、少しでも子供たちの可能性を広げられるきっかけづくりができる取り組みを積極的にしていきたいと考えています。

今回出会った4人の子供たち。

将来、どんなクリエイターになるのか、今から楽しみすぎる子供たちでした。

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