QualiArtsの技術組織と技術文化
QualiArts Advent Calendar 2019 1日目担当の吉成です。
アドベントカレンダーはQualiArts(クオリアーツ)では初の取り組みになります。
今回、エンジニア主導でアドベントカレンダーを行うことを決めましたが、弊社では他にもエンジニア主導で様々な取り組みを行なっています。
本記事では、QualiArtsの技術組織と技術文化について紹介をします。
QualiArtsとは
組織や文化を説明する前に、そもそもQualiArtsという会社がどのような会社なのかについて軽く説明をします。
QualiArtsは2016年に会社化したスマートフォンゲームの企画・開発・運営とIPの企画・開発・プロデュースを行う会社で、「オルタナティブガールズ2」「ガールフレンド(仮)」などのタイトルを開発、運営しています。プロダクトの一覧はこちらです。
QualiArtsでは、有名声優による音声付き美少女ゲームや、VRモード搭載美少女ゲームなど、美少女ゲームにおいて先駆けたチャレンジを行ないつつ、企画と技術の両面からユーザーのみなさまに楽しんでいただけるゲーム作りを行なっています。
そして、美少女の3D表現や、大規模ゲームの運用力を強みとしており、アセットバンドル配信基盤、課金基盤、UI基盤など、開発を効率化するための様々な基盤も作成しています。
QualiArtsの技術組織
現在、QualiArtsは全体で約200名の組織で、その中の約50名が技術者です。
技術者の内訳としては、Unityエンジニアが約25名、Webフロントエンジニアが約5名、バックエンドエンジニアが約20名います。
ネイティブゲームのクライアントではUnityを採用しています。また、バックエンドではNode.jsを採用することが多かったのですが、最近ではGolangの採用が増えてきました。
2つのエンジニアボード組織
QualiArtsでは50名のエンジニアが技術チャレンジを行いつつ最高のパフォーマンスを出せるように、技術戦略に特化した「TEC-ACE」と、技術組織戦略に特化した「QUBE」という、2つのエンジニアボード組織があります。
元々はエンジニアボード組織は1つだけだったのですが、技術戦略と技術組織戦略というカテゴリは毛色が少し異なるため、半年前にボード組織をそれぞれのカテゴリに特化した形に分け、各々の戦略に特化した動きをできるようにしました。
それでは、2つのエンジニアボード組織をそれぞれ紹介します。
TEC-ACE
TEC-ACEは技術戦略を担当しており、技術領域やプロジェクトの異なる7名のエンジニアで構成されています。
中長期の技術戦略を考え、それに対する施策を打ったり、新規プロジェクトも運用プロジェクトもプロジェクト内で技術チャレンジを行なえている状態を作ったり、各メンバーの技術力アップを後押ししたりと、技術に沿った戦略の立案と実行をしています。
後ほど紹介する「もくもく会」「ギジョプレ」「アドベントカレンダー」はTEC-ACE発で立案から実行まで行われている施策になります。
QUBE
QUBE(QUaliArts Boost Engineeringの略)は技術組織戦略を担当し、5名のエンジニアで構成されています。
前の半期では新しい評価制度の策定に注力をし、今期は目標設定、評価、キャリアにフォーカスして、技術組織に沿った戦略の立案と実行をしています。
後ほど紹介する「技術評価者座談会」はQUBE発で立案から実行まで行われている施策になります。
QualiArtsの技術文化
各種勉強会
勉強会は主に、技術の発信と共有を目的としたものと、技術習得を目的とした2種類が行われています。
この後紹介するアゲテクのみ、QualiArtsだけでなくQualiArtsが所属する10社以上のゲームに携わる子会社が所属する事業部ゲーム・エンターテイメント事業部にて行った施策となるため参加者の予定を合わせるため定時後に開催していますが、それ以外の勉強会は全て定時内に開催をしています。
Unity勉強会/バックエンド勉強会
Unityエンジニアとバックエンドエンジニアぞれぞれで、隔週1時間の勉強会を開催しています。
発表は毎回複数人で順番に回しており、業務での学びや調査結果を発表することもあれば、全く関係のない発表をすることもあります。例えば最近では次のようなテーマで発表が行われました。
Unity勉強会の発表テーマ
- UnityTest Runner触ってみた
- GoogleHomeで夢のスマートホームどこまでできるかやってみた
- Scriban
- Mesh SyncとSceneCacheとAlembic
- AnimationRigging触ってみた
- 声でオブジェクトを操作する機能について
バックエンド勉強会の発表テーマ
- Go Conference 2019 Autumn 参加レポート
- 言語別CSV読み込み・ソート比較
- gRPC導入
- Google Cloud Spanner の採用に至るまで
- GolangのORM(GORM,sqlboiler,sqlx)で速度比較
- LineBotを作る
- まだ間に合うFirebase入門
機械学習勉強会
機械学習やゲームAIに興味があるエンジニア達で、2年ほど前から週1で手を動かす形の勉強会を続けています。次のサービスや書籍を用いて勉強会を行なってきました。
- Coursera Machine Learning
- ゼロから作るDeep Learning ―Pythonで学ぶディープラーニングの理論と実装
- ゼロから作るDeep Learning ❷ ―自然言語処理編
- 現場で使える!TensorFlow開発入門 Kerasによる深層学習モデル構築手法
- つくりながら学ぶ! 深層強化学習 ~PyTorchによる実践プログラミング~
最終的に現場に機械学習やゲームAIを入れたい時に、しっかりと知見が溜まっている状態を作ることを目的としており、最近ではシミュレーションの自動化や、強化学習によるオートプレイなど、実際のプロジェクトで検証を始めています。
Go勉強会
バックエンドでのGolangの採用が増えてきたため、自プロジェクトでGolangを採用していないエンジニアへの勉強会も開催しています。Golangを実務で使っているエンジニアが講義をし、課題を出して、次の回に課題に対して講師がレビューをしたり、参加者同士でレビューをしあう形で、技術習得を行なっています。
アゲテク
アゲテクは3ヶ月で新しい技術を習得して技術力をアゲていこうという講義形式の勉強会です。
3ヶ月の間、曜日ごとに異なる勉強会を開催し、参加者は自分の興味がある勉強会に参加して新しい技術を身につけます。
過去には次のような講座を開催していました。
アゲテクは元々2016年にQualiArts内で立ち上げた勉強会なのですが、現在ではゲーム・エンターテイメント事業部に所属する子会社全体に広がって運営されています。
※アゲテクに関しては、こちらの記事で詳しく紹介をしています。↓
「ためになりました!」では終わらせない実務につながる勉強会「アゲテク」とは?
もくもく会
普段の業務に追われていると、なかなか学習の時間を確保することが難しいこともあると思います。もくもく会は隔週2時間、プロジェクト外の技術をもくもく勉強しようという取り組みです。この2時間はスケジューラーを抑えて、MTGも入らないようにして、技術のインプットに集中できるようにしています。これにより普段の業務の状況に左右されず、各々の目標にあった技術力の向上を行えるようにしています。
バックエンドエンジニアのもくもく会の様子(最近は良い椅子や外部ディスプレイを使うため、自席で行なっています)
ギジョプレ
元々QualiArtsではプロジェクトごとに半期のビジョンをプレゼンするビジョプレという施策がありました。これはその技術版です。各プロジェクトごとに半期で行う技術チャレンジをプレゼンしています。前回のギジョプレでは12案を決議し、一部の紹介にはなりますが、次のような技術チャレンジを行うことが決まりました。
- デザインツールからUnityへのUI自動配置
- 長期運用サービスへのコンテナ導入
- テストの自動化
エン結び酒場
誤解をうけそうな名前ではありますが、、、プロジェクトが別だったりと業務上での絡みが薄いエンジニア同士をつなぐ(結ぶ)懇親会を開いて、エンジニアの連携を強化していこうという、いたって真面目な施策です。新卒が入社したタイミングでは、新卒メンバーに先輩エンジニア全員とつながってもらおうという目的でもエン結び酒場を開催しました。
ピッツアソン
ピッツアソンは、テーマを決めてプロジェクトの失敗例、新しい取り組み、技術課題を披露する発表会です。
サービスをリリースした際などは、開発の裏話や、新しく取り入れた技術などを共有します。ちなみに、ピザを食べながら発表会をしようということで、ピッツアソンという名前になっているのですが、ピザを毎回出していたらみんなピザに飽きてきてしまったので、最近ではお寿司を食べながら発表会をしていることが多いです。
技術評価者座談会
QualiArtsでは技術面の評価は技術者が行います。
技術評価者座談会では、技術評価者のスキルアップを目的として、ワークショップ形式の座談会を行なっています。ここで各々の評価プロセスを共有したり、困っていることや課題の解決策を議論したりすることを通じて、目標設定とそのプロセスの品質向上を目指しています。
(もう少し楽しそうにしている写真を撮りたかった)
ぶら下がり棒
エンジニアが飲みの場で社長に「ぶら下がり棒があればエンジニアがもっと健康になると思います!」という話をしたところ、なんと3台も設置されました!これでエンジニアの健康面もバッチリです!
懸垂だってやり放題!
アドベントカレンダー
そしてアドベントカレンダーです。今書いているこの記事ですね。
社内でインプットや技術共有を盛んに行なったり、カンファレンスで発表したりしているものの、対外的な技術発信などはまだまだ少ないので、今回はアドベントカレンダーという形で対外的な技術発信に挑戦してみようということになりました。
本日から25日間、スマートフォン向けゲームの開発周りにおける技術や組織について発信をしていきますので、チェックをしていただけたら嬉しいです。
QualiArts Advent Calendar 2019
さいごに
今回紹介したように、QualiArtsでは技術戦略と技術組織戦略のそれぞれに対してボード組織を用意し、各々特化した戦略を立てています。また、プロジェクトが数多く存在するため、プロジェクトを跨いだ技術共有や人材交流にも力を入れつつ、新規プロジェクトも運用プロジェクトも技術チャレンジを行なえている状態を作っています。
今回はQualiArtsの技術戦略や技術文化を紹介しましたが、サイバーエージェントのゲーム・エンターテイメント事業部に所属する子会社の間でも同様に、会社を跨いだエンジニアボード組織が存在します。そして、エンジニア全員でキャンプに行ったり、ハッカソンイベントを行なったり、技術書典に出展したりと、会社を跨いだ技術共有や人材交流にも力を入れています。
また、事業部全体として「自分たちの組織は自分たちで創る」という考えを大事にしており、ここまで紹介したエンジニア施策のほとんどは現場のエンジニアから発案され実行されています。
ゲーム・エンターテイメント事業部全体での様々な取り組みも本ブログに掲載しておりますので、是非他の記事にも目を通していただければと思います。
それでは、明日以降のQualiArts Advent Calendar 2019もよろしくお願いいたします。